生命は生命の力で生きている II / Life Survives by the Power of Life II
teamLab, 2020, Digital Work, 60 min (loop), Source Calligraphy: Sisyu
自分と環境は、不二、つまり、二つに見えますが実際は一つであり、切り離せません。分断の反対とは、統合ではなく、二つに見えるものも実際は一つであることに気が付くことかもしれません。
自然の恵みも脅威も、そして文明の恵みも脅威も、連続的で、つながっています。どこかに絶対的な悪意があるわけでもなければ、かといって綺麗ごとでもすまされません。わかりやすい解などないし、感情すら整理できないかもしれない。それでも、あらゆる状況においても“生きる”それを全部肯定したいのです。生命はうつくしい。
生命や生きることを意味する漢字「生」を「空書」で立体的に書いています。「空書」とは、チームラボが設立以来書き続けている空間に書く書のことです。書の墨跡が持つ、深さや速さ、力の強さのようなものを、新たな解釈で空間に立体的に再構築し、チームラボの「超主観空間」によって2次元化しています。書は平面と立体との間を行き来します。
レンズや遠近法で切り取った作品空間は、ディスプレイ面の向う側に、作品空間が出現します。つまり、ディスプレイ面が境界となり、鑑賞者が存在する空間と作品空間は、分断してしまいます。しかし、「超主観空間」の特徴の1つですが、「超主観空間」で切り取ったこの作品空間は、ディスプレイ面が境界とならないのです。この作品空間は、ディスプレイ面を超えて、鑑賞者が存在する空間まで立体的に存在しているかのように認知されます。作品空間は、鑑賞者の肉体がある空間と連続します。
憑依する炎 / Universe of Fire Particles
teamLab, 2021, Digital Work, Single channel, Continuous Loop
炎は、黒い絶対的な存在によって、形が変化していきます。
炎は、燃焼することによって発生する光や熱の現象であり、流れの中にある気化した物質や分解された物質でもあり、現象と物質の狭間を見る時の私たちの感覚的な経験でもあります。人々は、感覚的な経験である炎をひとつの物体のように認識し、時にはそこに生命を感じます。
燃焼する気体の流れによって、空間上に線を描き、その線の立体的な集合で炎をつくり、チームラボが考える「超主観空間」によって平面化し、炎を描きました。
チームラボは、「Distributed Art」という概念を模索しています。
《teamLab: FIRE》のアプリを持って作品の炎に近づくと、スマートフォンに炎がともり、作品を持ち帰ることができます。その持ち帰った炎を、他の人のスマートフォンに近づけると、同じように炎がともります。炎を誰かにつなげ、その炎がまた他の誰かにつながっていくことで、炎は、世界中に広がっていきます。広がっていく炎群全体は、炎地図に描かれていきます。
Distributed Artにおいて、ある作品は自らを複製し、ある作品はその一部を人々に分けます。人々の手に渡った作品は、また、自ら複製を生成し、人々が能動的に分散していきます。作品は、人々のネットワーク上に分散して存在し、分権型のアートになっていくでしょう。作品は、ネットワーク上に存在する時、オリジナルが消滅しても存在し続けます。
我々の中にある火花 / Solidified Sparks
teamLab, 2022, Interactive Digital Installation, Sound: teamLab
群生する光の線の集合による球体。
光の線は、中心から放射状に無数に広がります。光源は動きませんが、無数の線はうごめき続けます。
球体には境界面がなく、作品と身体との境界の認識は曖昧であり、球体に手で触れようとすると、球体は反応し、手は球体の中に入ります。そして、周辺の球体も呼応していきます。
うごめいているものは、何か?
我々の世界は、我々の中にあるのです。
小人が住まう宇宙の窓 / A Window to the Universe where Little People Live
teamLab, 2022, Interactive Digital Installation, Sound: teamLab
この窓は、小人が住んでいる窓です。
光のペンで線を描いたり、光のスタンプを押したりすると、線やスタンプが生まれ、小人たちは遊び始めます。
線は、色によって加速させたり跳ね返したりと、小人たちの世界に様々な力を与えます。スタンプは、小人たちの世界で動き出し、種類によって様々な力を与えます。
周りの人と一緒に、大きな絵を描いたり、たくさんのスタンプを押して、小人たちの世界に新たな世界を描いて様々な力を与えると、小人たちはより果敢に遊びます。
<遊び方>
1: 光のペンで線を描いたり、光のスタンプを押したりすると、線やスタンプが生まれます。
2: 線は、色によって加速させたり跳ね返したりと、小人たちの世界に様々な力を与えます。
3: スタンプは、小人たちの世界で動き出し、種類によって様々な力を与えます。
不可逆の世界 / The World of Irreversible Change
teamLab, 2022, Interactive Digital Work, 6 channels, Endless
この作品は、いつかの時代のどこかでもあり、今のここでもある。
作品世界は、現実世界と同じ時間の流れの中で、作品がある場所の日の出とともに作品世界は明るくなり、日の入りとともに暗くなっていきます。作品のある場所で現実に雨が降れば、作品世界も雨が降ります。そして、一年を通して、季節とともに咲いていく花々が日々移り変わっていきます。
人々の日常生活も、現実世界と同じ時間の流れの中で、朝が訪れ、夜がはじまり、時間帯や天候によって変わりながら、季節とともに祭や行事が行われていきます。作品世界は、日々変わっていきながら、恒久的に続いていきます。
鑑賞者が作品世界の人々に触れると、人々は反応します。触れることが少しであれば、また、人々は日常に戻ります。
しかし、連続的に人々に触れ続けると、近くの者同士は争いをはじめ、殺し合いに発展し、やがて町全体は火に包まれ、炎は一年以上続き、人々は死に絶え、町は焼き尽くされます。
誰一人いない荒廃した町にも、現実の時間とともに、日が昇り、日は沈み、春夏秋冬の時が流れ、数か月後には、焼け跡に新しい草花が芽吹きます。
草花は、生まれ、咲き、散っていくのを繰り返しながら、現実の時間の流れで、咲く草花が日々移り変わっていきます。そして、長い時間を経て、草木は深く生い茂り、花々の移ろいを毎年繰り返しながら、永遠と続いていきます。
この作品は、世界が一度燃えはじめると、燃える前の世界をもう二度と見ることはできません。
Matter is Void
teamLab, 2022, Digital Work, Endless
チームラボは、《Matter is Void》を通して、所有とはなにかを模索します。
この作品は、NFT作品です。この作品のNFTは1つだけですが、NFTによって作品の唯一性は付与されません。作品自体は誰でもダウンロードし、何人でも所有することができます。つまり、NFTを所有していようがしてなかろうが、ダウンロードされた作品は、何も区別することができないし、全て本物なのです。
この作品は、チームラボによって「Matter is Void」と書かれています。しかし、この作品のNFT所有者は、作品内の言葉を自由に書き換えられます。NFT所有者が言葉を書き換えると、世界中で所有されている全ての作品が、その言葉に書き変わります。
そして、NFT所有者の言葉により、作品の価値が変化するだけでなく、その言葉に価値があれば、作品を所有する人は増え、その言葉に価値がなければ、作品を飾る人はいなくなるでしょう。多くの人が見ている作品を書き変える価値は高いかもしれませんが、誰も表示していない作品を書き変える価値は低くなるかもしれません。すなわち、NFT所有者の言葉によって、この作品のNFTの価値も変化していくでしょう。
書かれた言葉の文字は、公転と自転を続けます。回転し続ける文字は、角度によっては認識でき、全体として意味を認識できる瞬間も訪れるが、再び、文字として認識できない意味のないものとなります。文字の公転は、視覚的には、左回転も右回転も同等であり、どちらかの方向の回転を意識するかによって、左回りにも、右回りにもなります。